「介護って、いくらかかるんだろう」「うちの家計で、払っていけるかな」——介護のお金は、誰もが抱える大きな不安です。私はケアマネとして6年間ご家族の相談を受け、私自身も母と義母を介護しました。その経験と、公式の最新データをもとに、介護費用の目安と、知らないと損する”使える制度”を、わかりやすくお伝えします。
介護のお金、実際いくらかかるの?
まず全体の目安から。
- 一時的な費用(住宅改修・介護ベッド等):平均 約47万円
- 毎月の費用:平均 約9万円
- 介護期間:平均 約4年7ヶ月
- 総額の目安:約500〜550万円
(出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」)
費用は「在宅」か「施設」かで大きく変わります。月々の費用は在宅で平均5.3万円、施設で平均13.8万円。在宅のほうが、かかるお金は断然少ないのです。
私自身も、義母を在宅で介護していた頃は、デイサービスの介護保険分が月1.5万円ほど。そこに食費や通院の医療費などを含めると、月3万円ほどでした。その後、認知症が進み要介護3で特別養護老人ホームに入居すると、月11万円ほどに。費用はぐっと上がりました。
ただ、在宅は安いぶん、ご家族の心と体の負担は大きくなります。私も、認知症と糖尿病のある義母の通院介助や日々のケアで疲弊し、離職しました。——お金だけでなく、「家族の負担」も含めて考えることが大切だと、身をもって感じています。

まず知っておきたい「自己負担割合」と「支給限度額」
介護保険サービスの自己負担は、原則1割です(所得が高い方は2割・3割)。
- 2割:合計所得160万円以上 かつ 年金収入等280万円以上(単身)
- 3割:合計所得220万円以上 かつ 年金収入等340万円以上(単身)
(出典:厚生労働省)
また、要介護度ごとに「1ヶ月に保険で使える上限(支給限度額)」が決まっています。たとえば要介護3なら月およそ27万円分まで。これを超えると、超えた分は全額自己負担になるので、ケアマネとプランを相談しながら調整します。
要介護度ごとの「1ヶ月に保険で使える上限」の目安は、次のとおりです。
| 要介護度 | 1ヶ月の上限(目安) |
|---|---|
| 要支援1 | 約50,000円 |
| 要支援2 | 約105,000円 |
| 要介護1 | 約167,000円 |
| 要介護2 | 約197,000円 |
| 要介護3 | 約270,000円 |
| 要介護4 | 約309,000円 |
| 要介護5 | 約362,000円 |
“申請しないともらえない”お金(いちばん大事)
ここが、私が皆さんに一番知ってほしいところです。自己負担が高くなっても、あとから戻ってくるお金があります。
【高額介護サービス費】
1ヶ月の自己負担が上限を超えると、超えた分が払い戻されます。上限は所得により異なり、一般的なご家庭で月44,400円(世帯)、住民税非課税世帯ならさらに低くなります。(出典:厚生労働省)
【高額医療・高額介護合算療養費】
1年間の「医療費+介護費」の合計が上限を超えた分も、戻ってきます。
私の家族も、この制度で戻ってきたお金に本当に助けられました。市区町村から案内と申請書が届いて手続きをしましたが——申請しないと受け取れません。「届いたけど、よく分からなくて…」とそのままにしてしまう方もいます。どうか、忘れずに申請してくださいね。
施設の食費・居住費を軽くする「負担限度額認定」
施設やショートステイの「食費」と「居住費」を軽くする制度です。住民税非課税世帯で、所得や資産の要件を満たし、市区町村に申請して認定されると、負担の上限額が設定されます。
※世帯を分けていない場合は、ご本人と世帯全員が要件を満たす必要があります。また、毎年の更新手続きが必要です。
そのほか、知っておくと損しないこと
- 医療費控除……訪問看護や通所リハビリなど、一部の介護サービス費は医療費控除の対象になります(確定申告で税金が戻ることも)。
こうした制度は「知っている人だけが得をする」もの。少しでも「使えるかな?」と思ったら、ケアマネジャーや市区町村の窓口に聞いてみてください。

「介護費用は誰が払う?」で、揉めないために
とてもデリケートで、大切な問題です。基本は、ご本人の年金から充てるのが一般的です。年金で足りなければ貯金を充て、それでも手立てがなければ、市区町村の生活保護課に相談する道もあります。
兄弟や家族がいても、それぞれに生活があり、なかなか頼りにくいもの。「誰が負担するか」で関係がこじれてしまうこともあります。だからこそ、早めに家族で「お金のこと」を話しておけると安心です。
なお、生活保護を受けていても入所できる施設もあります。「お金がないから施設は無理」と、あきらめないでくださいね。
最後に — どうか、抱え込まないで
老後やお金のことを考えると、ほとんどの人が不安になります。私自身も、その一人です。介護は、いつまで続くか分かりませんし、その時になってみないと、いくらかかるかも分かりません。
でも——相談できる場所は、ちゃんとあります。一人で抱え込まずに、まずは身近なケアマネジャーに話してみてください。きっと、適切な制度や窓口に繋いでくれます。
なんでも気軽に話せる信頼関係こそが、何よりの安心です。お金の不安も、どうか一人で背負わないでくださいね。
