「仕事を続けたいけれど、もう限界かもしれない」——介護と仕事の両立に、心も体もすり減っていませんか。私はケアマネとして働きながら義父母の介護に向き合い、そして最終的に、介護のために仕事を辞めました。だからこそ、今まさに「辞めるしかない」と思い詰めているあなたに、辞める前に知ってほしいことがあります。
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両立の限界は、静かに、確実に訪れる
私の場合は、義父の入院をきっかけに、義母との同居が始まりました。義母には認知症があり、通院の付き添い。さらに糖尿病、頻尿、眼科と、いくつもの科への受診にも付き添いが必要でした。仕事を終えてからの通院で疲れ果て、糖尿病に配慮した食事づくり、日々の見守り——心も体も、休まる時がありませんでした。
今も忘れられない光景があります。ある日、義母がデイサービスから私より先に帰宅した時のこと。スタッフさんに送ってもらったものの、義母は1階の部屋で、暖房もつけず、じっと座って私の帰りを待っていたのです。慌てて暖房をつけてもらうようお願いしましたが、寒い部屋で静かに待っていた義母の姿に、申し訳なさで胸がいっぱいになりました。
こうして少しずつ疲弊し、「少しゆっくり休みたい」という気持ちが大きくなって、私は上長に相談し、1ヶ月の介護休業を取ることにしました。

辞める前に——「使える制度」を知ってください
実は、仕事を続けながら介護をするための制度が、法律で定められています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割可)。雇用保険から休業前賃金の67%の「介護休業給付金」が受け取れます |
| 介護休暇 | 年5日(対象家族が2人以上なら年10日)まで。1日・半日・時間単位で取得でき、急な通院の付き添いなどに使えます |
| 短時間勤務・時差出勤など | 会社には、両立のための措置が義務づけられています |
私も退職を相談した時、上長から「時短勤務やパートへの変更もできますよ」と提案していただきました。——でも、その時の私は、もう疲れ果てていて、辞める意志は固まっていました。
それからもうひとつ。仕事中、家に一人でいる親のことが気がかりで、目の前の仕事に集中できない——これも、両立のつらさのひとつだと思います。今は、離れていても生活の動きをそっと知らせてくれるセンサー型の見守りサービスもあります。認知症への備えを兼ねた「アイシル」のようなサービスもあり、制度と合わせて、こうした道具に頼るのも立派な選択です。
どうか、一度「介護から離れて」みてほしい
今、振り返って思うことがあります。介護離職をする前に、義母に1週間ほどショートステイをお願いして、思い切って旅行にでも行き、リフレッシュしていたら——離職せずに済んだかもしれない、と。
離職を考えていた時の私は、ずっと神経が張りつめて、休まる時がなく、「このしんどさから逃れるには、辞めるしかない」という気持ちになっていました。でも、一度介護から離れて、息抜きをして、それから考えていたら、きっと違う結論が出せたと思うのです。
「もう限界」と感じた時こそ、決断の前に、一度離れて休んでください。ショートステイは、そのためにあります。

私の後悔——「特定理由離職者」を、知らなかった
もう一つ、退職してから知って悔やんだことがあります。
介護を理由に、やむを得ず離職した場合、「特定理由離職者」として認められることがあります。そうすると、通常の自己都合退職よりも、失業保険(基本手当)の面で有利になる場合があるのです。私は「自己都合」で辞めてしまいましたが、これを知っていたら…と、今でも思います。
離職を考えている方は、辞める前に、ハローワークで確認してみてください。そして、介護そのものの悩みは、次にご紹介する地域包括支援センターへ。
私自身の話
私が介護休業を取ることになった、その前夜のことでした。「明日から休もう」という夜中に、突然、義父の病状が悪化し、亡くなったのです。
葬儀が終わると、さまざまな手続きや実家のことが、一気にのしかかってきました。もう、しんどい。一度仕事を辞めて休みたい——その気持ちが強くなり、義母の介護もあって、私は退職を決めました。
当時の私は、ケアマネジャーになって2年目。恥ずかしながら、介護休暇や介護休業の制度も、詳しくは知りませんでした(上長に教えてもらって、気づきました)。専門職の私でさえ、そうだったのです。
最後に——離職を決める前に、地域包括支援センターへ
介護離職を考える状況は、人それぞれ違います。でも、両立に悩むすべてのご家族に、伝えたいことがあります。
離職を決断する前に、一度、地域包括支援センターに相談してください。
地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーが常駐しています。介護のこと全般を、無料で相談できます。いろんな角度から助言をもらえるので、「もう離職しかない」と思っていても、新たな方法が見つかるかもしれません。
それは、介護サービスの見直しかもしれないし、福祉サービスかもしれない。健康や病気のことなら、保健師さんが詳しく教えてくれます。——百戦錬磨の職員がそろっているのを、私はケアマネとして、そして家族として、何度も実感しました。
どうしたらいいんだろう、と一人で悩んだ時は、どうか、その扉を叩いてみてください。あなたの仕事も、暮らしも、大切にできる道が、きっとあります。
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