「嫁だから、介護するのが当たり前」——そう言われて、あるいは誰にも言われないまま、その空気の中にいませんか。私は介護支援専門員(ケアマネジャー)として6年間働き、義母と暮らして介護し、見送りました。義理の親を介護した嫁でもあります。今日は、法律ではどうなっているのか、そして現場で実際に見てきたことを、私自身の経験とあわせてお伝えします。
まず、法律ではどうなっているのか
結論から言うと、お嫁さんに、義父母を扶養する法的な義務は、原則としてありません。
裁判所の説明には、こう書かれています。
直系血族及び兄弟姉妹は相互に扶養義務がありますが
裁判所「扶養請求調停」
直系血族とは、親子や祖父母と孫のように、血のつながりが縦につながっている関係のことです。義理の親子は、婚姻によってできた関係(姻族)であって、直系血族ではありません。
つまり、「長男の嫁だから、法律で決まっているから」ということは、ありません。
そして現場では——「嫁が介護する」はもう実態と違いました
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
ケアマネジャーとして、私はたくさんのご家族を担当してきました。その中で、実際に介護を担っておられた方を思い返すと、こうでした。
- 実の娘さん、息子さん
- 配偶者(ご主人・奥さま)
- 姪御さん
お嫁さんは、ごく少数でした。正直に言うと、6年間で、お一人しか思い出せません。
しかもその方は、直接の身体介護をされていたわけではありません。施設に入所されたお義母さまのもとへ月に数回面会にいらして、必要なものを届け、細やかに気配りをされていました。(思い返せば、その方もデイサービスで介護のお仕事をされていました)
「長男の嫁だから介護するもの」という言葉は、もう現場の実態とは違います。
もし今、その言葉に縛られているなら——それは、あなただけが背負わなければならない決まりではありません。

では、私はなぜ介護したのか
私にも、法的な義務はありませんでした。それでも、義母と暮らし、介護しました。
義務だと思ったことは、一度もありません。
義母を慕っていたからです。子どもたちが小さかった頃、本当にお世話になりました。助けてもらったことが、いくつもあります。
そして、介護の仕事をしてきたので、できることがありました。認知症のこと、糖尿病のこと、使える制度のこと。何の知識もなかったら、義母との生活は成り立たなかったと思います。
——なぜか自然に、できることを一生懸命やっていました。
これは、私がたまたまそうだった、というだけの話です。同じようにしなければいけない、という意味では、まったくありません。
実の母と、義母と。同じ介護でも違いました
私は、実の母も介護しました。実家で、父と一緒に。
その時は、まだ介護の仕事をする前でした。戸惑うことばかりで、一つ一つに一喜一憂していました。家族と最善を尽くそうと、ただ必死でした。
義母の時は、介護士とケアマネジャーの経験を活かすことができました。先の予測が立ち、準備ができました。
——それでも、気を遣う時はありました。
同じ「介護」でも、立場が違えば、感じ方も違います。義理の関係だから軽いということも、実の親だから楽ということも、ありません。どちらにも、その立場なりのしんどさがあります。
「なぜ私が」と思い始めたら
義務なのか。なぜ私が。——そう考え始めたら、介護は本当に辛くなります。それに加えて、いつまで続くか分からないとなれば、なおさらです。
だからこそ、抱え込む前にできることがあります。
まずは、ご主人とよく話し合ってください。「大変だ」と口に出すところからです。言わなければ、伝わりません。

そして——そんな悩みを話せる場所があるといいですよね。
ひとりで抱えていると、視野が狭くなります。担当のケアマネジャーに、まだ介護保険を使っていなければ地域包括支援センターに、話してみてください。話すだけでも、少し軽くなります。
あなたが倒れてしまったら、その介護は続きません。義務ではないからこそ、あなた自身のことも、大切にしてください。
