初めて藤井風さんの『何なんw』を聴いた時、私は思わず声を出して笑ってしまった。「ワシはいうたが」という歌詞が出てきた瞬間、なんだかクスッとしてしまったのだ。
それなのにそのリズムが頭から離れなくて、何度も同じフレーズが頭の中を巡った。2回目に流れてきた時、笑ったはずなのに気づけば私の口が歌を追いかけていた。この記事では、私が感じた『何なんw』の不思議な引力を、一緒に辿ってみませんか。
「ワシ」って何——初めて聴いた夜、画面の前で一人笑った
藤井風さん『何なんw』公式MV(YouTube)
藤井風さんにハマって、少し経った頃のこと。
ようやく「何なんw」と出会った夜、YouTubeを再生した瞬間からリズムがすっと体に馴染んできた。面白い曲だな——そう思いながら聴いていたら、唐突に聞こえてきたのだ。
「ワシ」。
あのイケメンな風さんの口から「ワシ」が飛び出した瞬間、思わず画面の前で吹き出してしまった。
岡山弁の一人称だとあとから知ったけれど、最初はただただ意外で……。あのクールな見た目と「ワシ」のギャップが、なんとも言えずおかしかったのだ。
笑いながら聴いていたはずなのに、気づいたら2回目の再生ボタンを押していた。
面白いのに、やめられない。
この曲には何かある——そう気づいた時には、もうすっかり胸の奥に引き込まれてしまっていたのだ。
2回目には、気づいたら一緒に歌っていた
Photo by Tadas Mikuckis on Unsplash
2回目の再生。
最初に聴いたときとは、何かが違った。リズムが体にすっと入ってきて、頭より先に体が音楽を覚えている——そんな感覚だった。
いつの間にか、体が小さく揺れていた。
サビに差し掛かったとき、気づく。「何なんw 何なんw」——口が、ひとりでに動いている。
歌おうとした覚えは、まったくない。なのに。
思わず笑ってしまった。「あれ、私、歌ってた」と。
笑いながら聴いていたはずなのに、その笑い方がいつの間にか変わっていた。「変わった曲だな」が「もう一度聴きたい」になって、「好き」という言葉がどこかからそっと浮かんでくる——。
このメロディのどこに引っ張られているのか、うまく言葉にできない。
中毒性、とよく言われる。でも私が感じたのは、そういう強引な引力じゃなかった。もっとひっそりとした、気づいたときにはもう遅い——そういう種類の、不思議な引力。
メジャーデビュー前から、すでに「本物」だった
2019年11月18日。
「何なんw」が、配信シングルとして静かに世へ放たれた日。
翌年2020年1月24日、4曲入りの「何なんw EP」が発売され、MVも同日に公開された。この日が、藤井風さんの公式メジャーデビュー日として記録されている。
EPに収録された洋楽カバーは3曲——「Close to You」「Don’t Let Me Be Misunderstood」「Shake It Off」。作詞・作曲は藤井風さん本人、サウンドプロデュースはYaffleさんが担った。あの独特の質感は、この組み合わせから生まれていたのか、と。ひとり合点がいった。
MVは2020年のMTV VMAJで「最優秀R&Bビデオ賞」を受賞している。
でも、私が何より驚いたのは別のこと。
メジャーデビュー前の2019年、東京・大阪・渋谷公会堂のワンマンライブ3本が、いずれも即日完売だったという事実だ。
すでに、完成されていた——。
「ワシ」は岡山弁だった——笑えて、なぜか心がほっと温かくなる理由
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「ワシはいうたが」——その一言で、私は思わず声に出して笑ってしまった。
あのスタイリッシュなイケメンさんが、真顔で。
藤井風さんは岡山県里庄町の出身。地元の一人称をそのまま歌に込めてくる人なのだ。都会的なビジュアルと、飾らない方言とのちぐはぐさ——そのギャップが可笑しくて、2回目も3回目も、同じ場所でふっと笑ってしまう。
でも笑ったあとに、気づく。
胸のあたりが、じわっとほぐれていくような感覚があった。
方言をそのまま使える人は、どこか信頼できる空気を持っている。里庄の風景ごと全部乗せてきたような素直さが、静かに親しみへ変わっていった。
私がくすりと笑ったのは、きっとその真っ直ぐさに驚いたから。あの「ワシ」という一言があったからこそ、藤井風さんがぐっと近くなった——そんな不思議な引力。
まとめ
「ワシはいうたが」——初めて聴いた瞬間、思わず笑ってしまった。
あのギャップ。
イケメンで繊細な音楽を奏でる藤井風さんが「ワシ」と歌う、あのズレ。 何とも可笑しくて、でもどこか愛しい。
でも笑い終えたあとも、あの独特なリズムはずっと耳のなかに居座り続けた。 2回目を聴くころには自然に口ずさんでいて、気づいたら体が動いている——不思議な引力。
この曲の引力の正体は「ギャップ」なのだ、と私はひそかに思っている。
完璧なのに、力が抜けている。 美しいのに、笑わせてくれる。 そのズレが、心をつかんで離さない。
難しいことは何ひとつ考えなくていい。 ただ一度だけ、聴いてみてほしいのだ。
ふとした瞬間に「ワシは……」と口からこぼれてくる——その感覚が、きっとあなたにも訪れますよね。 これまで届けられてきた音楽が、静かにあなたの日常へ溶け込んでいくはずだから。
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